絶対に消防士になりたい。
消防士の採用試験に有利になる資格が知りたい。
今回はこのような疑問にお答えします。
この記事を書いた人
東京消防庁 2011年4月入庁・・・3年勤務(673期です)
海外現地採用 2014年7月〜・・・5年間
海外起業 2019年5月〜・・・3年目
と、実際に消防士として働いていました。
現在は東南アジアの国で通関代行の会社を経営しています。
資格取得は、消防士になりたい人が周りに差をつけるために有効な手段です。
どんな資格が有効か、取得方法や注意点も解説します。
結論
消防士採用試験に有利なオススメ資格5選
・TOEIC(英語) / HSK(中国語)
・大型自動車
・救急救命士
・危険物乙種4類
・消防設備士乙種6類
それでは順番に解説していきますね。
※クレアールは、公務員試験以外にも公認会計士・税理士・司法書士などの難関資格にも対応している、50年以上の歴史がある資格指導校です。
消防士におすすめ資格1:TOEIC(英語) / HSK(中国語)
言語スキルは、外国人の多い自治体では重宝されます。
傷病者が外国人などの場合必ず必要になりすし、
そもそも外国語を話せる消防士が少ないので需要が高くなります。
英語であればTOEIC、中国語であればHSKがおすすめです。
消防士採用試験にTOEIC(英語)がオススメの理由
東京消防庁で言えば、赤坂消防署には英語が話せる職員が一定数集められていました。
管内に表参道や六本木があるので英語が必要になってくるんですね。
また、東京消防庁の試験案内にも”申告する資格”の中に英語があります。
TOEIC730点と、ちょっと要求レベルが高いですが、周りに差をつける良いチャンスです。
英語救急隊の運用開始
東京消防庁では、2020東京オリンピック・パラリンピックの開催に備え、平成26年4月から英語対応救急隊の運用を開始しました。
求められる英語対応力は、救急活動に必要な英語能力、外国の生活習慣などに応じた接遇等の技術です。
HSK(中国語)
中国人が多い地域であれば、HSKは有利です。
希望する自治体の外国人の人数を調べてみましょう。
例えば、神奈川県横浜市、兵庫県神戸市、埼玉県川口市などは中国人が多いことで有名ですね。
HSKも、東京消防庁の試験案内の”申告する資格”の中にあります。
TOEICやHSKがおすすめな人
・とにかく消防士になりたい人
・救急隊志望の人
・英語が得意な人
TOEICの勉強を始める
英語の独学は難易度が高いので、
点数を伸ばすのに実績がある3つを紹介。
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消防士におすすめ資格2:大型自動車免許
大型免許所有者を採用することは、採用側の自治体にもメリットがあります。
大型免許は消防には必須の資格です。
消防署には、はしご車などの大型免許を必要とする車両が多くあります。
僕の所属では、5トン水槽車(※1)があったので、はしご車がない所でも大型免許を持った機関員(※2)が必要でした。
※1 5トン水槽車:標準的な消防車より水を多く積んだ消防車
※2 機関員:消防車を運転する人
大型免許所有者を採用すると自治体にもメリットがある
大型免許所有者を採用すると自治体側も次のようなメリットがあります。
・予算を削減できる
・免許取得期間中の補強人員を確保しなくて済む
・長く機関員として働いてくれる
自治体側のメリット1:予算を削減できる
大型免許は消防で必ず必要なので、自治体によりますが免許取得費の半額などを公費から捻出します。
最初から大型免許を持っていると、自治体は公費を節約できます。
自治体側のメリット2:免許取得期間中の補強人員を確保しなくて済む
新たに大型自動車免許を取得する職員を出向させると、
その間の交代制要員を確保しなければなりません。
最初から大型免許を持っていると、職員ひとり分の出向を減らせるので余計な負担を減らせます。
機関員として長く働いてくれる
途中から大型自動車免許を取得した人よりも長く機関員として働くことができます。
大型自動車免許を持った機関員が司令補に昇任した場合、隊長職になります。
その枠をまた新たに補強しなければなりません。
機関員として長く働ける人材は消防組織も助かります。
このように、大型免許所有者を採用すると自治体側も複数のメリットがあります。
大型自動車免許がオススメな人
車の運転が好き、得意な人
そのまんまです。
機関員は、運転の他にも水利調査(※3)やちょとした車両整備も仕事になるので、そのような業務が好きな人に向いています。
※3 管内の消火栓の場所とその消火栓が問題なく使えるかどうかの調査
大型自動車免許をとる方法
自動車学校に行き教習を受け、試験に合格する必要があります。
取得にだいぶお金がかかりますが、難易度はそこまで高くはありません。
消防に入ってから自治体の補助金を使って大型免許を取得するという手段もありますが、
最初から持っていると、採用試験で有利です。
取得費用は、おおよそ30万円ほどです。
» 合宿免許受付センターに無料相談: 日本全国の教習所に申し込みできる
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30万円であれば、東京消防庁の1年目のボーナスで十分に回収できます。
消防士におすすめ資格3:救急救命士
救急車には必ず1名の救急救命士を乗車させなければなりません。
なので、もっとも採用される確率を上げる資格です。
これは救急業務規程で決められています。
救急業務規程の内容は自治体によって異なりますが、
東京消防庁の救急業務規程には次の定めがあります。
救急隊を構成する救急隊長及び救急員のうち,いずれか1人は救急救命士としなければならない。ただし,第2項に該当する場合は,この限りでない。
出典:東京消防庁救急業務等に関する規程 5条4項
救急救命士法改正により資格価値急上昇
令和3年の救急救命士法の改正により、救急救命士が厚生労働省令で定める研修を受けることにより、これまでできなかった病院内での業務を行うことが可能となりました。
かねてから問題となっていた医師の長時間労働を改善すべく医療関係職種(診療放射線技師、臨床検査技師、臨床工学技士、救急救命士)の業務範囲の拡大が行われました。
これにより、救急救命士の資格が消防組織外でも活きることになりました。
救急救命士の資格があるけど消防の体質が合わなかった人、消防の試験に受かることができなかった人でも資格が活かせるようになったことで資格の価値が上がりました。
消防組織(自治体)目線で救急救命士法改正を考える
これまで救急救命士が転職する場合は、その資格を活かせる転職先がほんとんどありませんでした。
ところが、法改正により中堅の30代・40代の救急救命士の転職するハードルが下がりました。
これからは、自治体は、救急救命士をできるだけ多く採用したいと考えますし、
救急救命士が転職しないような施作も必要になります。
救急救命士は、現在でも採用したい人材ですが、将来的には今よりも採用したい人材になります。
救急救命士になる方法
大学や専門学校に行き、指定の単位を取得した上で国家試験に合格する必要があります。
消防学校の同じクラスには、救急救命士の有資格者が5、6人いました。
スタートから、いきなり同期にリードしているので、羨ましく思った記憶があります。
救急救命士資格は注意も必要
どうしても消防士になりたいという理由で救急救命士を取ることはおすすめできません。
救急救命士資格は消防にとって必須です。
万がいち消防内で別のキャリアを歩みたいと思っても、消防署の事情により希望が通りずらくなる可能性があります。
自治体によりますがかなり激務です。
消防士におすすめ資格4:危険物乙種4類
危険物乙種4類は、消防法で第4類危険物に指定されている、引火性液体(ガソリンなど)を扱うことができる国家資格です。
正式名称は「乙種第4類危険物取扱者」
東京消防庁の採用試験合格後に、「取れる人は取っておきましょう」みたいな案内がありました。
僕の場合、消防学校の座学の予習になるくらいでしたが、消防士であれば取っておくべき資格です。
理系の人は、比較的容易に取れるでしょう。
逆に、理系科目が苦手な人は、「苦手分野なので前もって勉強した」とアピールすれば、面接で多少のプラスにはなるかもしれません。
危険物乙種4類をとる方法
危険物乙種4類を独学で取る
高校生レベルの化学・物理が得意な人は、ロングセラーの向学院の赤本一冊だけを5周やれば合格ラインに到達します。
合格までに必要な勉強期間は、1〜3ヶ月(1日1〜2時間の勉強)くらいです。
危険物乙種4類を講座を利用して取る
化学・物理を完全に忘れてしまった人
そもそも文系の人
しばらく勉強から離れてしまった人
上記の人は、講座を利用した方が早いですね。
オンライン講座のスタディングであれば、講義・テキスト・問題集・模擬試験(全てWeb)がオールインワンで4,950円(税込)です。
テキストを自分で印刷しないといけないというデメリットがありますが、おそらく業界最安値かと思います。(※筆者調べ)
スタディング「危険物乙4講座」の詳細は次の記事にまとめています。
紙のテキストで勉強したいという方は、フォーサイトがおすすめです。
価格は、10,800円とスタディングの約2倍ですが、フルカラーテキストに加え、スマホ対応も優れたバランスの良い講座です。
フォーサイト「危険物乙4講座」の詳細は次の記事にまとめています。
有名どこの資格のユーキャンだと39,000円(税込)もするのでだいぶ安いです。
消防士におすすめな資格5:消防設備士乙種6類
消防署配属後の1年目から査察での消火器の設置点検や、防災指導で消火器の使い方説明をする機会があるので、仕事でも確実にプラスになります。
消防設備士乙種6類は、消火器の点検と整備を行うことができる国家資格です。
防災指導の際も、自分が理解していることにより、説明する市民の方にも深く理解してもらえるでしょう。
消防設備士乙種6類をとる方法
通信講座だとどこも2万円以上と値が張ります。
試験回数も年数回あるので、大学生であれば独学がおすすめです。
過去問を多く掲載し、合格までこれ一冊で十分と評判の書籍がこちら。
合格までに必要な勉強期間は、2〜4ヶ月(1日1〜2時間の勉強)と言われています。
独学に自信がない人や忙しい社会人は、ヒューマンアカデミー通信講座「たのまな」で無料資料請求して通信講座も検討してみましょう。
まとめ:目指す資格は人それぞれ
上で紹介してきた資格をおさらしますね。
- TOEIC/HSK
-
外国人の多い自治体では重宝される。
- 大型免許
-
採用側の自治体にもメリットがあるので採用試験において有利になる。
公費の節約、人材補強の負担軽減など。 - 救急救命士
-
一番採用を有利にしてくれる資格。
法改正により、消防組織が合わなくても資格が活かせるようになった。
激務なので覚悟が必要。 - 危険物乙種4類
-
気軽に取れる反面、採用を有利に進められるかは微妙。
消防士として最低限必要な資格。 - 消防設備士乙種6類
-
査察での消火器の設置点検や、防災指導での消火器の使い方指導などで確実に仕事にプラスになる。
これらの資格は、採用試験に有利になりますが、救急救命士などは、消防士になってからのキャリアに大きく影響するので、選ぶ際は慎重に。
また、語学系の資格や大型免許などは、自治体によって需要の大きさが異なるので、ご自身の希望する自治体のホームページなどから情報収集しましょう。
危険物乙種4類、消防設備士乙種6類は、採用に大きなプラスにならないかもしれませんが、
消防で必ず役に立つ知識です。
資格取得は、採用試験までの期間、消防に入った後のキャリア、費用を検討の上、挑戦してみましょう。